これから書くことは、約20年前にあるひとりの男が仮面浪人を経験したってハナシ。もちろんノンフィクション。実話です。
- 仮面浪人しようか本気で悩んでる
- 仮面浪人を決心したけど不安しかない
- 仮面浪人経験者の話が聞きたい
このうち1つでも当てはまることがあるなら、ここから先の内容が少しは役に立つかもしれません。
センター試験で人生初の赤点
忘れたくても忘れられない大学入試センター試験(現:大学入学共通テスト)で味わった絶望。
僕は国語で200点満点中、脅威の42点を叩き出しました。生まれて初めて、しかも本番で赤点を取ってしまうという大事件が勃発したわけです。
もともと国語は苦手教科だったんですけど、それでも普段の模擬試験では120〜150点くらいは取れていましたから、マジでシャレにならん点数なわけですよ。この42点は。
今でこそ笑ってネタにしてますけど、当時の僕は絶望しかなかったです。お先真っ暗ってこういうことなのかと。
他の教科はそこそこの点数だっただけに、この42点のダメージはあまりに大きい。
当然ですが、前期・中期・後期すべての試験が不合格。
仲のいい友だちはみんな志望した大学に合格し、楽しいキャンパスライフを送るための準備をしているというのに…。自分だけ浪人の道へまっしぐら。
まぁ勉強量が足りなかったといえばそれまでなんですけどね。結局は自己責任ですから。
Fランク大学合格から仮面浪人へ
後期試験の合格発表も終わった3月中旬。某県の私立大学(経済学部)が願書受付をしているという情報を親父が見つけてきてくれました。
親も必死だったんでしょう。浪人させたくないという気持ちなのか、世間体を気にしてなのかは分かりませんけど。
で、その大学の願書にはこんなことが書かれてました。
「センター試験の結果だけで合否判定をします。二次試験はありません」
え!?
「そんな大学あんの?」と疑いつつも、僕はワラをもつかむ思いで願書を出し結果を待ちました。
結果は合格。
浪人確定だと思っていたところに、名前も聞いたことがない私立大学から届いた合格通知があまりに嬉しすぎて、あの日の僕は完全に舞い上がってました。
ようやく自分を認めてくれる大学を見つけた!
そんな思いでした。
翌日から引っ越しの手配やらなんやらで大忙し。
ようやく僕も大学生になれる!
初めての一人暮らし。すべてが自由。とにかく楽しいことばかりが思い浮かびました。
まぁただそういう大学は、やっぱりそういうレベルの大学なわけですよ。いわゆるFランク大学ってやつ。
実際に大学の講義を受けてみると「コレって大学でやることか?」的な内容ばかり。
ココにいたら、俺、オワル。
未成年ながらに生まれてはじめて人生の危機を感じました。
そして初講義の日から3日後、僕はもともと志望していた国公立大学を目指すため、Fランク大学に通いながら浪人する「仮面浪人」になることを決めました。
大学の必修単位を取りつつ受験勉強
さて、仮面浪人することは決意したものの、果たして自分にそんな二刀流的なことができるのか?
そもそも初めての一人暮らし。慣れない家事をこなしつつ大学に通い、勉強の時間も確保しないといけない。
中途半端な気持ちでやるのはよくないし、いっそ休学してしまおうか。
でも親になんて説明すっかなー。せっかく探してくれた大学だしなー。
てか、次も合格できなかったらどうする?さすがに二浪はしたくないしメンタル的に無理。
仮面浪人して合格できなかったら、今の大学を卒業するしかない。だったら必修単位だけは取っておかないと後々キツくなるよな。
こんな感じでいろいろ悩んで考えた結果、いくつかルールを決めることにしました。
- 浪人して合格できなかったら今の大学を卒業する
- 必修単位だけは講義を受けておく
- センター試験と前期試験だけの勉強をする
ぶっちゃけ、Fランク大学であってもやっぱり「保険」は欲しい。仮面浪人はズルいと言われる理由がココにあるわけです。
「必修単位だけ講義を受ける」とは言っても大学の講義は1コマ90分。僕がいた大学では、1年生だと1日に2~3コマは必修科目があったので、最低でも3時間は講義で拘束されます。
とにかく時間の確保が最優先なので、センター試験と前期試験だけに勉強時間を割く。後期の論文対策は捨てる、というか受けない!まさに当たって砕けろ的なルール。
無駄なことに時間は使えないんでこれくらい攻めていかないとって感じでした(とは言いつつ、一人暮らしならではの色んな誘惑があるんですけどね)
仮面浪人を始めてから1ヶ月もすると、自分で決めたルールがキツいなぁと思うようになってきます。
ただそれと同時に「もう二度とこんな思いはしたくない!」という気持ちも強くなったため、当初目標にしていた大学をあきらめ、少しランクを下げて受験することにしました。
いま思えばもっとチャレンジすれば良かったと後悔していますが、当時はとにかく浪人生活を終わらせることしか頭になかったですね。
とまぁそんなこんなで。
結果、その翌年のセンター試験では課題だった国語も無事クリアし総得点も大幅に増加。前期試験も納得の出来で志望大学に合格することができました。
仮面浪人を攻略するためのコツ3か条
ここからは仮面浪人をするならコレだけは絶対やらないと勝てん!ってのを3つ挙げます。
なお、勉強方法についてはそれぞれのやり方があるでしょうからあえて触れません。
①勉強時間の確保・管理
そもそも時間の確保・管理ができなければ、仮面浪人に挑戦しようなどと考えてはいけません。
本気で受かりたいなら覚悟を決めましょう。
さて、以下は当時大学生であった僕の平日のスケジュールです。
7:00~7:20 起床・朝食準備
7:20~7:50 朝食
7:50~8:15 準備
8:15~8:55 移動(チャリ)
9:00~10:30 1限目講義【必修】
10:40~12:10 2限目講義【必修】
12:10~12:40 昼食
12:40~14:30 大学図書館で勉強
14:40~16:10 4限目講義【必修】
16:15~16:40 移動(チャリ)
16:40~17:10 スーパーで買い物
17:10~17:30 移動(チャリ)
17:30~17:50 夕食準備
17:50~18:30 夕食
18:30~22:00 勉強
22:00~22:20 お風呂
22:20~24:55 勉強
25:00 就寝
マーカー部分が受験勉強にあてた時間です。平日で約8時間の勉強時間を捻出しています。
必修科目がない時間帯は、90分も空いてしまうのですぐに大学の図書館へ。人があまり来ない隅っこの席を狙い、参考書や赤本を開いてコソコソと勉強。
とにかく1秒でも多く受験勉強のための時間をつくることを心がけていました。
削れるところをひたすら削って勉強時間にあてる。
おかげでこのときに培われた時間の管理術は社会人になった今でも役立ってます。
土日は大学が休講なんで自分の部屋で勉強、勉強、ひたすら勉強。
洗濯はためておいて土曜にまとめてする。部屋の掃除は汚れてるなって思ったときだけやる。
ただ、いつも勉強ばかりしてるとツラくなるので、2週間のうち1日だけチートデイを決めてました。
近くの大型ショッピングセンターにあった音楽ショップで流行りの洋楽CDを買う。これを楽しみに毎日がんばってました。
ちなみにお金に関しては、少しの仕送りの中でうまくやりくりしていました。もちろんCD購入もその範囲内で。
バイトはコンビニでやりましたよ。1日で辞めたけど。
お金をもらうことがいかに大変かってことは学べましたが、仮面浪人するならバイトはやるな。コレ鉄則です。
大学の夏休みは約2ヶ月あるので、その間は実家に戻って勉強しましょう。何もしなくても食事が出てくるのはなんと素晴らしいことか!
母は偉大です。
②とにかく健康第一
どれだけ勉強して自信をつけたとしても、試験の前日・当日に風邪をひいてしまってはすべてが無駄になります。
人間ってね、とにかく健康が第一なんです。
アントニオ猪木の「元気があれば何でもできる!」ってセリフあるじゃないですか?
健康なときはなんとも思わないんだけど、病気になったり、年取るとね、いやもうホントそう!って思うようになるんですよ。
とにかく1日3食ちゃんと食べて、最低でも5時間は睡眠時間を確保しましょう。むかしは「四当五落」とか言われてたみたいだけど、僕はしっかり6時間は寝てました。
4〜5時間睡眠の日もたまにあったけど、翌日(当日朝)の身体がめっちゃキツかったです。
料理もあんまり手の込んだことをすると時間がかかるので、朝は食パンで済ませ、昼は学食でガッツリ食べるようにしてました。
夜はごはんだけ炊いて、スーパーで買ってきた日持ちしそうなお惣菜と納豆、即席みそ汁で過ごす毎日。
土日はカレーと肉じゃがの2パターンで乗り切りました。作りかたが似てるんでめっちゃ楽です。
土曜の昼にカレーを大量に作っておいて、日曜の夜までずっとカレーを食べてたときもありました。
というか、今はレトルトカレーもレンジですぐに作れる時代。おまけに味もめちゃめちゃウマい!
特にハウス食品のプロクオリティはマジでオススメ。日持ちもするので何袋か常備しておくとチョー便利です。
自炊するのが面倒になってきたら、栄養価が高い魚系の弁当を選んで買いましょう。そして買い出しに行くことすらも面倒になってきたら「Uber Eats」でも呼んじゃいましょう!
少しくらい値段が高くてもいいんです。健康と時間をお金で買うという感覚を持ちましょう。
あと、納豆は最強の便利食材です。
高タンパク質で腹持ちもいいので、常に冷蔵庫にストックしておきましょう。少しくらい賞味期限が切れても余裕で食えます。
味に飽きてきたら梅干し・レモン汁・お酢のどれかで味変。毎日でも飽きずに食べられます。
最近はホントに便利な世のなかになったよなーって思う。20年前じゃ考えられないくらいモノやネットツールが充実してるもんね。ウラヤマシス。
③友だちをつくらない
県外大学へ行って一人暮らしする人の意外な落とし穴が友だちです。
最終学歴の友だちは、これからの人生で長く付き合うことになる最高の仲間になります。
でも、仮面浪人を決めたあなたの最終学歴はその大学ではないはず。
何も状況を知らない新しい友だち(仮)はあなたをいろいろと誘惑してきます。
夜遅くに携帯に電話がかかってきて「腹減ったからラーメン食いに行こう」「暇だからゲーセン行くぞ」「カラオケでオールしよう」などなど。
もしこんな誘いを受けそうになったらソッコーで断りましょう。僕がいつも使ってた言い訳は「今バイト中だから無理!」です。(1日で辞めたけどな!)
コレ言っときゃ相手は確実にひるみます。もしバイト先を聞かれたら飲み屋と答えるのがベスト。
「今バイト中だから無理!夜遅くまで飲み屋でバイトだから電話なんか出れねぇ!」と合わせ技を使えば、翌日から誘われなくなる(嫌われる?)こと間違いなし。
キツい言い方になりますが、仮面浪人をするなら今の大学で友だちをつくってはいけません。
そもそも、あなたは仮面浪人してることを新しい友だち(仮)へ正直に言えますか?僕は言えませんでした。
だって来年の春は今の大学にいないかもしれない。その友だちとは永遠にサヨナラかもしれない。
悩むぐらいなら仮面浪人のあいだは、友だちとは程よく距離をおきましょう。
自分が本当に行きたい大学で一生の友だちをつくればいいんです!
仮面浪人?最高じゃん!
誰だって浪人なんかしたくない。めっちゃ分かる。
自分なりに一生懸命勉強してきたのに報われない。めっちゃ分かる。
ただ遅かれ早かれ、誰しも人生のどこかで壁にぶつかる時が必ず来るんです。
大学受験ってのは、その最初の壁なのかなと。
自分の親の時代は大学なんて行かずに就職している人がほとんどで、バブル景気時は月単位で給料が上がっていったとか。
僕らの想像を遥かに超えたクレイジーな良き時代。そりゃ大学なんて行ってる場合じゃないよな。
今じゃ大学に行くのが当たりまえ。だからこそ、自分の夢が叶わなかったときの挫折感がハンパない。
でもこの挫折を経験できる人って実はそれほど多くなくて、むしろ、そういう経験をした人のほうが社会に出てからはスゲー貴重な存在になれる。
浪人や仮面浪人を否定したり笑うヤツなんかほっとけばいい。否定的な意見なんか勝手に言わせとけ。そういう人たちって、たいてい口だけなヤツらばかりだから。
他の人より2倍苦労した人は、きっと2倍楽しいことが待ってるぞ!
なんか、気づいたらめっちゃ熱い長文になってんなコレ。
20年以上前のことなのにコレだけ書き出せるってことは、当時19歳だった僕は相当ツラかったんだなーと。
もし仮面浪人を失敗していたら、今ごろどんな人生だったんだろう。
1つだけ確かなのは、この文章は書けなかったってこと。
そゆこと!
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